メンバー

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和解学を共に研究するメンバーたちです。

グローバルヒストリー安全保障と人権

神山 かおり

Kaori KOHYAMA

Kaori KOHYAMA

ベルリン自由大学 博士課程

代表業績

著書「奄美『緑』の脱植民地戦争」南方新社、2025年発刊予定

共著「Z世代とミレニアル世代が創る日韓交流」(山本浄邦、金敬黙編『日韓スタディーズ①新たな研究と学び:日本と韓国をつなぐ』)ナカニシヤ出版、145-150頁、2024年

共著「Listen Louder: How journalists can counter polarization」Constructive Institute、2022年

専攻分野

東アジア近現代史、歴史社会学、国際関係学、メディア・ジャーナリズム

目指す研究者像

人間がそれぞれ関わり合って生きる社会において生まれる問いがだんだんと複雑に絡まり合って政治問題化していくとき、それらに向き合い、解決に向けて声を上げ続けるのは渦中に飲み込まれていく当事者だけで済むはずがない。どうしても届くことが許されない対岸なのであれば、距離が離れているからこそ見える視座があるのではないだろうか。保てる温度をあれやこれやと必死に提示し続けていられるような研究者、実践者でありたい。

研究テーマ紹介

島津薩摩による琉球侵攻後直轄領として琉球から切り離されてプランテーション化された奄美群島における経済的搾取と政治的周縁化が、明治維新を経て中央政府にどのように受け継がれ、また戦後の米軍占領や復興政策を受けて固定化されたのかを分析する。明治期以降に焦点の比重が大きい日本型の帝国主義における新たな視座を提供することを目指す。

 

<提出用ワーキングペーパーの仮題目>

奄美大島における軍備化をめぐる第二次世界大戦の集合的記憶

自己紹介

<プロジェクトに参加するにあたってのモチベーション>

ちょうど10年前、アメリカ高校留学中に済州島出身の友達にかけてもらった言葉——その裏に潜んでいる世代を超えた痛みの記憶が、私のアカデミックな歩みをここまで照らし続けてきました。学部時代から専攻(政治学)に加え、キャンパスアジア生として東アジアの紛争解決学をクラス内外で学ぶ機会を得、北京やソウルにおいて、また卒業後はヨーロッパにおいて現代的和解のあり方を肌で学び取ることをしてきました。その中で今、「Vergangenheitsbeweltigung(制度的・社会的・文化的に過去と対峙すること)」を社会的に実践しようと試み続けるドイツのベルリンにて、惨禍を招いた日本帝国主義を見つめ直す研究をしながら、こうして東アジア和解学のフレームワークにそれを還元できることは、この上ない貴重な機会だと思っています。

 

<これまでの研究、および和解学で今後発展させたい内容>

修士はよりアカデミックな内容(東アジア地域研究、ポストコロニアリズム)とメディア・ジャーナリズム、二つを修了したため、今後の研究においても両輪の視座および手法を行ったり来たりしながら進めていきたいと思っています。和解学においては、これまでの研究において、その殆どの対象に、自身は当事者として含まれていませんでした。「和解」を取り扱うとき、そのポジショナリティをどう理解し位置付けるのか——「大和人」として、「日本人」として、痛みの根源にアプローチしていくとき、どのような歩み寄りが可能となるのか。学術的な問いを超えて、個人的な研究者としてのあり方も含めた批判的な問いかけを不断に続けていきたいです。

研究画像