研究協力者
詹亜訓
CHAN Ya Hsun
国立陽明交通大学 国立陽明交通大学社会と文化研究科 助理教授
代表業績
- 詹亜訓(2025)「吉野作造的帝國論述與民本主義:從社會問題到民眾的政治主體化」『帝國與文明(II):世界秩序的多元想像(從西方到亞洲)』 聯経出版社。
- セン亜訓(2022)「范本梁アナーキズムの思想史的水脈をさぐる-幸徳秋水と大杉栄を手がかりに-」『相関社会科学』 30/31合併号、 3-18頁。
- CHAN, Ya Hsun (2021) Rethinking Imperialism and Constitutional Democracy in Interwar Japan and Colonial Taiwan. Journal of Northeast Asian History 17(2): 7-56.
専攻分野
東アジア政治思想史
目指す研究者像
東アジア政治思想史を軸に、社会問題・帝国・植民地をめぐる思想の交錯や、民衆の政治的主体化の変遷を分析してきました。歴史学、思想史、政治理論を横断する学際的視座と、台湾・日本を含む越境的視点、社会運動へのまなざしを重視し、過去の知の編成を通して現代の課題と対話する研究者を目指しています。
研究テーマ紹介※図1参照
2023年まで、私は「社会問題と帝国問題が絡み合った知識形態のもとで、民衆の政治的主体化の構想がどのように変遷したか」を主軸に据え、(非)領土化・(non)territorializationの観点から、1896年から1927年にかけての日本と台湾における(1)社会問題と帝国問題の問題化、(2)帝国・国家・社会改造思想、(3)植民地改造思想を分析してきました。研究の成果は、論文集の『帝國與文明(II)』、学術ジャーナルの『相関社会科学』、Journal of Northeast Asian History、Router: A Journal of Cultural Studiesに掲載されています。
現在は「日本政治思想の食糧問題とファシズム問題」(Rice Crisis and the Question of Fascism in Japanese Political Thought)を題に研究をしています。政治的主体としての「民衆」が中心に据えた社会・国家・帝国の改造をめぐる議論は特に注目され、「領土化の重層的ダイナミズム」(multi-dynamics of territorialization)によって体系的に検討されています。
就職活動の体験・今後どのようにプロジェクトに関わっていくか
JSPS外国人特別研究員として早稲田大学に在籍中、台湾での現職に応募しました。研究計画は学際的広がりを意識して構成し、英語授業のシラバスも柔軟に設計。Job Talkでは、抽象的な政治思想をわかりやすく伝える工夫を重ね、国際和解学プロジェクトなど自身の国際的活動も強調しました。不安の中でも、自身の歩みを言語化する貴重な機会となりました。
他分野・他地域の研究者との協働を通じて、異なる立場や経験の交差点としての「和解」のあり方について、対話を重ねながら考えていく姿勢を大切にしたいです。国際学会やシンポジウム、学術論文集の企画を通じて、国際和解学の共同研究に少しずつ関わっていきたいと考えています。歴史的対立や記憶の問題をめぐる議論に、自身の専門である政治思想史の視点から貢献できればと思います。
研究画像
図1