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【新刊】小野坂元『ILOの対中関与と上海YWCA』(法政大学出版局、2025年)
内容紹介
第一次世界大戦の講和条約を根拠に1919年に設立された国際労働機関(ILO)が、中国の労働問題に関与した経緯を検討し、国際機構と加盟国とを媒介した国際NGOの上海YWCAの活動を明らかした著作です。女性労働運動に着目し、上海租界という治外法権区域でのキリスト教団体を国際政治史的に位置づけつつ、民族・階級・ジェンダーが交錯した戦間期および第二次世界大戦期の歴史に接近したものです。和解学に直接関係する内容ではありませんが、社会主義という労資関係を問う思想や、神と人間との関係を語るキリスト教神学において、「和解(reconciliation)」が議論されてきた歴史をふまえ、和解学プロジェクトのウェブサイトで取り上げました。
なお、同書は、東京大学学術成果刊行助成制度「東京大学而立(じりつ)賞」の支援を得て刊行されました。
目次
序章
第1章 ILO設立過程における対日問題:日英間の舞台裏交渉
第2章 欧州地域統合と国際労働基準:ハイパーインフレーションの教訓
第3章 五・三〇運動の衝撃:ナショナリズムと国際機関
第4章 労災と失業の上海:行政的解決か労働者教育か
第5章 国際機構間関係史としての日中戦争:「生活水準の向上」に基づく国際的な連帯
終章
あとがき
参考文献
索引

右に進むと国際労働機関(ILO)で、左の道に入ると世界キリスト教女子青年会(World YWCA)の事務所へ