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和解学に関連するイベントをご紹介します。

和解学週間(毎年2月末)

第6回 高等教育の国際化に関するステークホルダー会議 報告書

2024年12月3日および4日、アジア太平洋地域における高等教育の国際化に関する第6回ステークホルダー会議がタイ・バンコクにて成功裏に開催された。本会議は、早稲田大学・国際和解学研究所、東京大学大学院教育学研究科、およびUNESCOバンコク地域事務所の共催により実施され、「和解の実現における高等教育機関の役割」がテーマとされた。これまでの議論を踏まえながら、国際高等教育がアジア太平洋地域において平和・和解・知識外交にどのように貢献できるかが探究された。
会議初日は、高等教育の国際化および知識外交に焦点を当て、特に高等教育機関が社会の様々なアクターと連携し、平和を含む地球規模の課題にどのように取り組めるかについて議論がなされた。二日目は、「和解と教育」というテーマに特化し、黒田一雄教授および浅野豊美教授による開会の挨拶の後、和解プロジェクトの6名の研究メンバーと3名の招待講演者が、地球規模・地域的・学際的視点からなる三つのテーマ別セッションにおいて研究成果を発表した。

プロジェクトメンバーによる発表

黒田一雄 教授(早稲田大学)
 平和と和解のための国際教育の概念化
チョウ・カオ 講師/研究者(ダイナム大学)
 留学を通じた和解の探求:日本とアメリカにおけるベトナム人学生の共同オートエスノグラフィー
リュウ・ジャスミン・ジョンヒョン 助教(東京大学)
 ASEAN平和教育における国際協働と和解:政策と草の根の乖離を橋渡しする試み
レイラ・ラジャイ 特別研究員(JSPS-PD、東京大学)
 南アジア大学を事例とした地域高等教育機関の平和および知の外交におけるプラットフォームとしての可能性
小山淑子 准教授(早稲田大学)
 ポスト記憶世代における歴史教育の可能性と課題:トランスナショナル・アイデンティティと周縁化された加害者記憶
グエン・ヴィエット・ドゥー 研究補助者(早稲田大学)
 和解と平和のための国際教育の概念化:ポストナショナル・アイデンティティの媒介的役割
ウパラット・コーワタナサクル 准教授(早稲田大学)
 未来の和解に向けて:15歳児の協働的問題解決における葛藤と不正義の理解
浅野豊美 教授(早稲田大学)
 国際教育協力と経済協力:〈心〉のアプローチの歴史的起源と展開

招待講演者による発表

ピラール・バース 助教(アテネオ・デ・マニラ大学)
 国際教育および制度間パートナーシップにおける平和構築の位置づけ
ウィル・ブレム 准教授(キャンベラ大学)
 メコン地域における記憶:東南アジアにおける地域アイデンティティ、学校、政治
内海裕司 准教授(名古屋大学)
 紛争地域における平和と和解のための初等教育の継続性:学校安全と地域のレジリエンス

2日間にわたる本会議では、研究者、実務家、政策立案者を含む30名以上の参加者が議論に加わり、高等教育が果たしうる和解および知外外交における役割についての理解が深められた。本会議は、これらの重要なテーマに関する対話を促進し、国際的かつ学際的な研究協力の推進に向けた貴重なプラットフォームとなった。なお、今回の発表および議論の内容は、今後刊行予定の学術出版物にも反映される予定である。