早稲田大学 政治経済学術院 助手
業績3点
- 佐藤雪絵(2025)「光州事件とアメリカ人権外交:
人権問題をめぐる国務省・米議会・ 韓国外務部の三者間関係を中心に」『早稲田政治公法研究』 123、早稲田大学大学院政治学研究科、pp.1-17。 - 佐藤雪絵(2023)「韓国MZ世代とフェミニズム運動:オンラインからオフラインへの拡大と深化する政治的対立」『コリアン・スタディーズ』11、国際高麗学会日本支部、pp.19-30。
- 佐藤雪絵(2020)「新軍部の登場と光州事件における在韓日本大使館の対応:日本外務省戦後外交記録を中心に」全南大学校5・18研究所編『5・18と以後:発生、感応、拡張』、全南大学校出版文化院、pp.53-95。(韓国語)
専攻分野
現代韓国政治思想史、1980年代韓国民主化運動と韓米関係、移行期正義研究
目指す研究者像
学問的研究と一般社会の双方において、意義ある貢献をなすことができる研究者になりたいと考えている。とくに、①学際的視野をもち、複数の研究領域に貢献可能な研究をおこなうこと、②国際的発信力を高め、日韓はもちろんのこと、世界の研究の蓄積に貢献すること、③以上の学術的な貢献に加え、人権の保護や暴力の廃絶という点で、現実社会の改善に貢献すること、を重視している。
ワーキングペーパーの仮題目
韓国における「過去清算」の政治思想史と韓米関係:1980年代民主化運動における対米認識の変容に着目して
研究テーマ紹介
本研究は、韓国における「過去清算」の政治思想が、いかに形成され、変容してきたのかを明らかにするものである。本研究ではとりわけ、1980年代の韓米関係と、韓国民主化運動における対米認識の変容に着目する。
「過去清算」とは、権威主義体制下でなされた人権侵害の真相を民主化以後の社会において解明し、その被害を救済するための政策であり、同時にその土台となる政治思想である。この「過去清算」はしばしば、民主化以後の、韓国国内政治のみに焦点をあわせて議論されてきた。だがこの概念は、民主化以前から韓国社会に存在してきたローカルな正義観であると同時に、人権という普遍的価値にもとづく世界的な移行期正義(Transitional Justice)の潮流の一部をなすものでもあった。
「過去清算」の政治思想は、1980年代の韓国民主化運動の過程で大きく変容・発展した。そして、その重要な契機となったのが、民主化運動における〈反米〉思想の登場であった。以上から、本研究では、次の三つの問いに答えようとする。第一に、なぜ、いかなる韓米関係ゆえに、いかなる〈反米〉思想が生まれたのか。第二に、その〈反米〉思想は、「過去清算」にいかなる影響をおよぼしたのか。第三に、「過去清算」の思想は、韓米関係にいかなる影響をおよぼしたのか。以上の問いに答えることで、韓国国内政治と民主化運動、韓米関係が相互に影響を及ぼしあいながら「過去清算」の思想を変容させ、その「過去清算」がこれら三要素を変容させる相互作用を描き出すことが、本研究のねらいである。
以上のような本研究は、「過去清算」の政治思想に着目することにより、歴史認識をめぐる日韓間の対立を克服することに資する。同時に、韓国という事例を移行期正義研究に提供することで、世界で侵害されてきた人権を救済するとともに、将来の人権侵害をも未然に防ぐための重要な鍵を提供するものである。
研究画像