哲学・心理学班

哲学・心理学班は、「和解」という概念自体を根源的に考察することを目的とし、外交や制度といった公的領域の分析では十分に扱われてこなかった集合的記憶や価値の問題に、哲学的・心理学的な方法からアプローチする。本班は、「和解とは何か」「なぜ和解が必要なのか」「いかなる意味で批判的に検討されるべきなのか」といった基礎的問いを設定し、和解を単なる政治的妥協や制度的合意としてではなく、人間の内面や関係性の変容を伴う多層的な過程として捉え直すことを目指している。特に、心理学における「オープンダイアローグ」の枠組みを参照しながら、いかなるプロセスのもとで当事者が和解的過程を経験していくのかを理論的に検討する。

こうした問題関心に基づき、国際和解学叢書において本班は、和解を複雑で多次元的な現象として理論化する英語編著の刊行を進めている。本書は、和解を、自己との和解、他者との和解、自集団との和解、他集団との和解、自然との和解、そして超越的存在との和解という六つの相互に関連する次元から捉え、国家中心的あるいは政策中心的な和解モデルを超えた包括的な分析枠組みを提示する。また、本書は哲学、心理学、歴史学、人類学、政治学、社会学、宗教学など多様な分野の研究者による学際的対話を通じて、理論的検討と具体的事例分析を有機的に結びつけることを試みている。

本書は、和解を単なる結果や手段としてではなく、倫理的・社会的・存在論的な変容を伴う継続的な過程として再定位することで、現代社会における対立の理解と克服に向けた新たな理論的視座と規範的提案を提示することを目指している。