若手ワーキングペーパー

Working Papers

和解学に関連するワーキングペーパーをご紹介します。

著者 発行年 タイトル サマリー

発行年

2024年10月

本ワーキングペーパーは、シンガポールを事例として、人的資本の育成を目的とする教育と、和解を目的とする教育が一見すると相反する目標を持つように見えながらも、そのプロセスと成果においては相互に依存していることを論じるものである。本考察は、「国民国家」「人的資本の開発」「和解」という三つの理論的視座の交差点に位置づけられる。本稿では、シンガポールの独立以前から独立以後に至るまでの各段階において、教育がいかに用いられてきたのかを検討し、時代とともに和解が必要とされた側面と、それに対して教育政策がいかに対応してきたかを明らかにする。もっとも、本ワーキングペーパーが提示するのは基礎的な理解に過ぎず、主張を科学的に立証するためには、さらなるデータの収集と構造的な分析が求められる。そのため、本研究では次なるステップとして、政策言説分析の手法として「トピック・モデリング」の導入を提案する。

発行年

2025年2月

2021年の軍事クーデター以降に始まったミャンマーの「春の革命」は、新たな政治的利害関係者の出現とともに、政治情勢の変化、不安定化、武力衝突、数千人に及ぶ死者、そして数百万人の国内避難民をもたらした。このような惨状の主たる原因は、無実の市民に対する軍による直接的な攻撃、若者の拘束、住宅の焼き討ち・略奪、さらには住宅地への空爆などにある。 こうした被害に遭った人々は、被害者に正義をもたらす移行期正義(transitional justice)を求め、またその実現を訴えている。こうした背景のもと、私は国家統一協議評議会(National Unity Consultative Council: NUCC)が策定した移行期正義戦略に対して、批判的視座からの分析と検討を行った。分析にあたっては、一次資料に加え、移行期正義に関する既存の理論的文献も活用した。 この移行期正義政策は、応報的正義(retributive justice)および修復的正義(restorative justice)の観点から、複数の意義と価値を提示している。しかしながら、現行の政治情勢には依然として外的な障壁が存在している。本政策の実現において鍵を握るのは、革命勢力間の協調と集団的な力の結集である。

著者

Rethinking the Zero Point of Reconciliation: Naoki Sakai’s Political Philosophy of Translation as Method

Publication

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