文責:池上慶徳
2016年8月6日、早稲田大学のオープンキャンパスにおいて、浅野豊美教授による模擬講義「三つの『開国』と日本政治史 ~大隈重信のめざしたもの~」が行われた。高校生を中心とする受講生に向けて、「第二の開国期」に活躍した早稲田大学創設者・大隈重信を取り上げながら、「第四の開国期」にある現代において、早稲田大学で歴史学を学ぶ意義を論じた。
講義では、開国を「外圧と国内体制の変容」と定義し、日本史における三つの開国を区分して説明した。第一の開国は、鉄砲やキリスト教が流入してきた16世紀後半であり、コントロール可能な外圧を利用して国内統一が進められた時期にあたる。第二の開国は、ペリー来航から明治維新にかけての時期である。ここでは、大隈重信の『東西文明之調和』にも触れながら、コントロール不可能な外圧に直面し、国内体制が変容していく過程が語られた。第三の開国は、第二次世界大戦後の米国を中心とする占領期であり、現代にも続く諸問題を規定した時代として位置付けられた。
その延長上にあるグローバル時代の現在が、第四の開国期である。ただし、これまでの開国期とは異なり、現代においては外圧そのものが揺らぎ、曖昧さを帯びている。そこで求められるのは、外圧に対応するだけでなく、それを形づくる国際社会に主体的に参画していくことである。浅野豊美教授は、そのために歴史学を学び、感情的な論争に流されることなく、自らの立ち位置を定めていく必要性を説いた。
講義の冒頭では、複雑な事象や膨大な知識を整理し、捉えるための言葉として「概念」が紹介された。本講義は、まさに「開国」という概念を基軸として、時代を隔てた出来事を外圧と国内変容の関係から捉え直すものであった。外交と内政を不可分な自称として結びつけ、過去への理解を現代における自らの立ち位置へとつなげる。そのような歴史学の思考を示すことで、未来の早稲田生に、その学びの意義を提示した講義といえよう。
講義の全容については、こちらのリンクから視聴できる。