グローバルヒストリー哲学・心理学研究協力者
米沢竜也
MAISAWA Tatsuya

神戸大学大学院国際協力研究科 部局研究員
業績3点
- 米沢竜也 2023. 「韓国の独島関連民間団体に関する考察」『国際協力論集』第31号, 97-115頁
- 杉村豪一, 米沢竜也, 崔恩美 2021. 「人的交流は国際認識を変えるのか : 日中韓大学間交流プログラム 「キャンパス⋅アジア」の試み」『日本研究論叢』第53巻, 63-93頁.
- 米沢竜也 2020. 「韓国における市民運動言説の形成 : キリスト教社会運動の系譜に注目して」『国際協力論集』第28巻, 第1号, 55-78頁.
専攻分野
韓国政治、韓国地域研究、北東アジア国際政治学
目指す研究者像
韓国の文化や社会に触れたときに生まれる「なぜ?」という疑問に答え、他者や社会に対する理解と感受性を高める機会を与えられるような研究者になりたいと考えています。
研究テーマ紹介
韓国では民主化以降、過去の事象に対する真相究明や補償を国家次元で行う「過去清算」が政治的争点として浮上しました。この「過去清算」は、民主化以前の軍事政権時代における人権侵害に対する正義の追及や和解を目的としており、ほかの新興民主主義国における「移行期正義」と同じ側面があります。しかし、韓国の「過去清算」の場合、権威主義体制下における不正義だけでなく、さらに遡って植民地時代における独立運動家や、植民地統治に協力した親日派の真相究明なども含めており、国家の成り立ちをめぐる記憶にも取り組んでいるのが特徴です。
本研究は、東学農民戦争の事例から、国家や社会的アクターが「過去清算」を通じて過去の記憶をどのように政治化してきたのかを分析します。「過去清算」は、自分が何者かを問うアイデンティティをめぐる政治であり、過去の事象が現在とどのように結びつけられるのかという認識の枠組みである集合的記憶を新しいものへと変容させる試みであると捉えることができます。こうした点をふまえて、東学農民戦争の記憶についてどのような主体が何を重視して変化を追求したのかを検証し、その価値観を理解することを目的としています。韓国社会における集合的記憶の価値を理解することは、韓国内だけでなく、日韓間の和解への手がかり提供することが期待されます。
ワーキングペーパーの仮題目
東学農民革命の記憶と民主化運動
研究画像

韓国・東学農民革命記念公園にある全琫準将軍と東学農民軍の像